「これは、相性占いのために使う、特別なトランプです。」 そう言って、あなた(=マジシャン)は、赤青裏の混じったトランプを取り出します。
「まずは、皆さんでよくカードをシャッフルします。」 数人の観客でトランプを良くシャッフルします。
カップルの観客に手伝いをお願いします。
良くシャッフルされたデックを赤裏、青裏に分け、二人の観客に渡します。
さらに、それぞれのカードをスートごとに分けてもらいます。 ここで二人の観客に好きなスートを選択してもらいます。
選択されたスートで赤青のペアを作っていくと、全てのペアが一致しています。
さらに、残りのカードも順番に確認していくと、赤裏のカードと青裏のカードでつくった全てのペアが一致しているのです。
演技後、全てのカードは観客にあらためてもらうことが出来ます。
難しいテクニックは一切不要です。観客がどれだけカードをシャッフルしても、オートマチックに全ての現象は完了します。
「ピアニッシモ」は、レクチャーツアーでperformance only(実演のみ)で最後に演じることを目的として構成した作品です。
レクチャーのラストですから、ちょっとやそっとの作品を配置するわけにはいきません。様々なハードルをクリアした作品が必要でした。
設けたハードルは下記の通りです。
レクチャーの最後を飾るトリックですから、極力演者の負担が少ないように構成する必要がありました。
結果的に、テクニックらしいテクニックを必要とせず、非常に簡単な手順に仕上がりました。
私のレクチャーに参加してくださる方は、マジックに詳しい方が多いですから、マジックマニアが見ても、思わず唸るトリックを目指しました。
そして何よりも、締めに演じるトリックですから、現象としてのインパクトが強くなければいけません。
上記のようなハードルを全てクリアするように構成したのが、「pianissimo」です。
発売から一年以上経つにも関わらず、根強い人気を誇る、「Fatalism 3.0」という作品で、私は、Fatalism Principleという、ある条件の元で観客のシャッフルを無効化するテクニックを提示しました。
今回、「ピアニッシモ」で公開する手法は、長年温めてきた、もう一つの「シャッフルを無効化する」方法です。
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