カード当ての究極の形に「観客が思い浮かべたカードを言い当てる」というものがあります。この文言だけでは該当するマジックはたくさんありますが、どれもが様々な制限を持っているものです。そんな手順をたくさん見てきた方たちほど、ベンジャミン・アールの解決方はグッと来るはずです。まずは動画を見てみてください。これは、あなたが演じたかったマジックではありませんか?あ、もちろんデックはレギュラーです。
究極の形と言えば、もう一つこんなものもあります。「事前にカードを1枚抜き出しておき、好きなカードを言ってもらう。事前に抜き出したカードがそれである」というもの。これもベンジャミン・アールは実現させてしまっています。これこそ、あなたが演じたかったマジックではありませんか?もちろんデックはレギュラーです。
ベンジャミン・アールはメンタルが凄い
今回の第3巻では、上記のような「観客の心を読む」系のカード・マジックが主に収録されています。超絶テクニシャンの側面が強かった第1巻、第2巻とは趣向が変わっていますが、実は私が一番面白いと思って紹介したかったのがこの第3巻。前2巻とは打って変わって知略と人間力で「理想の現象」を実現する手腕は見事の一言です。
それもそのはず、「スキン」で発揮された通り彼はもともとメンタル・マジックにも造詣が深く、その分野の研究をマジック以外の分野も含めて行ってきた経緯があります。ここではただテクニックが切れるだけのマジシャンには絶対に考えられない解決法を見ることができます。
現在、この不思議さを演じられるマジシャンは滅多にいません。我々は、こんな不思議さを縦横にちりばめるパフォーマンスができる人たちが増えてくれれば良いなと思っています。(滝沢敦)
※英語版のパスト・ミッドナイトはDVD3本がセットになったものですが、こちらのタイトルはその中のDVD3となります。
ラムジョロック
観客はカットした所のカードを覚えて、デックを何度も混ぜる。演者はその中からカードを探し当てる。
スードゥ・ブレインウェーブ
観客にデックを渡して、覚えたカードをイメージしながらデックを広げてもらうと、観客のカードだけ中から表向きで出現する。
メンタル・ボヤージュ
観客はデックを広げて適当な1枚を覚える。演者はカードを当てるだけでなく、何のカードと迷ったのかも当てる。
ソート・オブ・カード・イン・ポケット
観客が自由に言った1枚が、演者が最初にポケットに入れたカードと一致する。
ルック・アウェイ・グリンプス
後ろを向いた状態で行う、非常に説得力のあるピークを3つ解説。
SASフォース
非常に巧妙で便利なフォース。
イントゥイティブ・ポーカー
ポーカーの手札を作るために、4枚はランダムにデックから取り、もう1枚は自由に想像してもらう。演者はこの5枚を当てていく。
ツー・カード・トランスポ
10枚の中から1枚見て覚えてもらう。観客が見て覚えた1枚と演者が事前に抜いておいた1枚が入れ替わる。
プレイング・ジ・オッズ
演者は一切デックに触れずして観客のカードが何枚目にあるかを言い当てる。さらに手札の役が何かも言い当てる。
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